嵐の日

あなたの腕に触れる
あなたと同じ香りになる
あなたの虚ろな目を覗き込む
あなたの不安定な心に触れる

その日もあなたは夜中に帰って
わたしに多くのキスをした
二人はワインしか飲まない
あなたの髪を乾かすのはいつもわたしの役目

ベランダには雨粒が音を立て
夜のうちに嵐が来ていた
揺れる木々や雨を照らす街灯は
いつまでも寂しそうに濡れている
すこし前の自分を見ているようだ

朝、あなたの寝顔の側で
嵐はもう去っていた
街灯は消えて、水たまりに空を映す
濡れた木々を照らすこの朝日は
わたしの寂しさと愛おしさを何も知らない
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